我妻善逸(あがつまぜんいつ)

 

我妻善逸の読み方は、あがつまぜんいつ。
炭治郎と同期の鬼殺隊士。
耳が良く、人や鬼などの”音”を聞き分ける。
自分に自信が持てず、しばしば自嘲的な発言をする。
極度の恐怖に陥ると眠りに落ち、別人のように頭の切れる性格へと変わる。

 

プロフィール

転載元:YouTube「TVアニメ「鬼滅の刃」我妻善逸スペシャルPV」

階級 癸→庚→丙
誕生日 9月3日
年齢 16歳
身長 164.5cm
体重 58kg
出身地 東京府 牛込區(現:新宿 牛込)
趣味 花札、双六
好きなもの 甘いもの、高いもの(うなぎなど)
CV 下野紘

 

概要

吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』の主要な登場人物の一人。

 

主人公・炭治郎の同期に当たる鬼殺の剣士。
炭治郎らが赴いた鬼殺隊士の最終選別に同じくして立ち向かい、たった五人生き残った精鋭隊士の一人である。

 

彼を言い表すならば「愛すべき馬鹿」「輝かんばかりのヘタレ」。

 

初登場時にはどこか鋭い眼光の、少し薄汚れた様子の歴戦の剣士の様な雰囲気を醸していたが、アニメ版「大正コソコソ噂話」によって、最終選別に行くのを嫌がり師匠に滅茶苦茶ビンタされて渋々参加したことが明かされた(詳細は後述)。

 

人物

臆病者で女好きで騒がしい、ヘタレ問題児

異常なまでにネガティブかつ底抜けに小心で臆病なため、その挙動は常時不審で、ところかまわず涙と鼻水を撒き散らして「鬼が怖い」「死にたくない」と泣き喚く。
その様相は人格者である炭治郎をして、般若のような形相にさせたり、年端もいかぬ少年に露骨な蔑みの目で見下ろされ窘められるほど。一応は彼も地獄のような鍛錬に耐えて鍛え抜かれ、選び抜かれた鬼殺隊士としての身体能力を持っているはずなのだが、到底そうは見えない。
上記の事情から「死ぬ」が口癖で、最終選別を潜り抜けた直後ですら「ここで生き残っても結局死ぬわ」と陰気な発言を繰り返し、「俺はもうすぐ死ぬ!次の仕事でだ!」「九分九厘死んだ」など事あるごとに悲観を口にする。
任務に対しても当然のことながら及び腰で、民間人の子供にすら「守ってくれ」と泣きつくばかりか、人喰い鬼を前にすれば全速力で逃げ出すだけでなく、恐怖のあまり立って歩くのも困難な有様を晒す。

 

その反面、美人に弱い典型的な女好きで、鬼狩りとなったのも「女性に騙されて作った借金を育手(鬼殺の剣士の育成者)に肩代わりしてもらった」という恩義から(しかもその女は善逸に自分の借金までおっかぶせて他の男と駆け落ちした)。炭治郎と再会した時は、任務を前にしていつものように死を悟り、往来で初対面の女性に縋り付いて泣き喚きながら結婚を迫っていた。
ヒロインである禰豆子との初対面時には、彼女が鬼である事を知りながらもその可愛さに一目惚れし、兄である炭治郎に対して露骨に腰が低くなるなど、果てしなく自分に正直な人間である。
小心者である一方で、この欲求に素直な面が神経の図太さにつながることが多く、蝶屋敷の機能回復訓練では、炭治郎や伊之助がやつれる程の激痛が走るマッサージを「女の子がやってくれる」というだけで笑いながら受ける(伊之助曰く「ただ者ではない」)、一般隊員であれば近くにいるだけで怯える程の威圧感を放つ音柱に対して嫉妬だけでキレて突っかかる、かなり自我の強い深層意識を持つ等、妙な部分で割と大物。
基本的にどんな女の子にも意識してしまうらしいが、アオイのようなガミガミ学級委員長タイプは少し苦手とのこと。

 

性根は優しく善良なお人好し

そんな彼ではあるが単なるビビりの駄目人間というわけではなく、その心根はとても優しく真っ直ぐで、鬼を前にした危急の事態において(泣き叫びながらも)子供を咄嗟に庇ったり、立てない自分を置いて先に逃げろと躊躇いなく口にしている。
聴覚が異様なまでに優れている(後述)ため、声音を聞くだけで他人の嘘を聞き分けられるが、良くも悪くも「自分の信じたい人を信じる」という性分を貫く人間であり、育手に引き取られるまでに七人もの女性に奴隷のようにこき使われて金だけ巻き上げられた挙げ句、手も握らせてもらえず捨てられた様に、人によく騙される反面、炭治郎が鬼を庇っていると知って尚、炭治郎の優しさを信じて伊之助に無抵抗で殴られながらも禰豆子の入っていた箱を守り切った。

 

戦闘の場面以外でも、お腹がすいている自分に炭治郎が分けてくれたおにぎりが1つしかないと知ると、半分に分けて炭治郎に返していた。
禰豆子に対しても、深層心理に至るまで慕っている事や、無意識下でも身を挺して彼女を庇うなど、その想いは本物である。

 

基本的には泣いて嫌がりながら任務に就き、治療の際ですら騒がしいことは変わらないが、任務を終えるごとに精神的に成長しているらしく、最初に音柱と逢った時には、彼の威圧的な外見に気圧されつつも、炭治郎・伊之助と共に神崎アオイを無理矢理連れ去ろうとする彼の横暴を止めたり、上弦の鬼との最初に接触した際には、上弦の鬼の気配に怯えつつも彼女に傷つけられた遊女の子を庇い吹っ飛ばされたりと、鬼殺隊の隊士としての自覚が芽生え始めている。

 

でも心の底は暗雲闇一色

元々善逸は捨て子であり、両親の顔も名前も知らずに育った。
魘夢の作った夢の中では核の周りは闇で覆われており、そこに侵入したのが男性だったためか自我が強い者には出るという核の守護者も、『陰鬱な男性嫌いな善逸』を型取り大鋏を持って侵入者に襲い掛かった。
これは似たような境遇の伊之助に対し「本当に捨て子ならおくるみに名前も書かねえよ 俺みたいにな」
とこぼしていることからも分かる通り、自分が「捨て子=要らない人間」なのだという自己認識は善逸の心を深く蝕んでおり、それが上記の奇矯な行動へと繋がっているのである。

 

容姿

ぱっつんを重ねたような金色の短髪(生来は黒髪だったが、修行中に雷に打たれた衝撃で髪の色が変わった)で、眉尻が二股に割れた太い垂れ眉に、クマのある目元が陰鬱な印象を与える。
単行本7巻の第54話補足ページに『共通の認識「善逸は出っ歯」』であることが描かれている。

 

その他

炭治郎(田舎生まれ、生真面目な天然)、伊之助(生粋の野生児)と、同期三羽ガラスの中では唯一の町生まれのため世事に明るく、列車の切符手配などの一般行動を請け負う(逆に、不便な田舎が好きではないので山の修行は2人よりも10倍きつかったとのこと)。
ただし好物もそれに準じてか、うなぎや甘味と高級・高カロリー品であり、もし鬼殺隊士になっていなければ肥満児になっていたらしい。

 

名前のアクセントは平板で発音する(「えんぴつ」などと同じ)。

 

能力

一見戦えそうもない彼だが、かつて「」であった育手に非凡な才覚を見初められた身であり、骨身を削る修練、命を懸けた選別を潜り抜けてきている。
弱きを護る鬼殺隊士として、悪鬼を前に刃を振るわねばならないその時、善逸は極限の緊張と恐怖の果て、気絶するように眠りに落ちる。

 

――この眠っている間のみ、彼本来の能力が発揮される。

 

彼が普段実力を見せないのは、単に恐怖で体が強張って動かないためであり、眠ること、すなわち無意識状態となることで邪魔な感情が一切消え失せ、本来の戦闘能力を発揮できるようになるのである。

 

我妻善逸の本質は、居合の達人。

 

電光の如き一閃により屈強な鬼の身体を瞬く間に両断し、その疾さは刀を抜く手はおろか納刀の動作すら目に映す事は敵わない。

 

初期の頃は、会話もせずにただ機械的に戦闘に入っていたが、修行の影響か、修羅場を潜り抜けた賜物か、回を追うごとにこの状態の善逸はいつもとは違って毅然とした態度で鬼を相手取り、冷静な戦術分析と磨き抜かれた居合術を駆使して戦う、強力な剣士となる。

 

その様は、強さに拘る伊之助をして「お前はずっと寝てた方がいいんじゃねえか……」と言わしめるほど。言うなればやる時はやる男の究極型。

 

無論、眠っている無意識下での行動であるため、自分が鬼を倒したなどとは夢にも思わない。
なのでその後、目を覚ました善逸は、鞘に納められたままの刀と足元に転がる鬼の頸を見て、ただただ困惑するだけである。
善逸の特性を知らぬものもまた同様である。

 

聴覚

炭治郎が嗅覚に優れている一方、善逸は並外れた鋭い聴覚を持つ。
睡眠状態=目を閉じていても戦闘行動をとれるのは、視覚が不要な程に聴覚が優れているからである。
これにより周囲の状況を正確にいち早く察知し、鬼が発する独特の音を聞き分け、鬼であれば人に紛れていようが箱の中にいようが、ある程度近くまで行けば判別できるという広範囲かつ強力なサーチ能力を使える。
また、相手から聴こえてくる音で人柄や心理状態すら読み解ける。諜報活動や絶対音感との併用による音楽の耳コピなど応用範囲も広い。

 

これだけ聞けば日常においても高い情報収集力を発揮しそうなものだが、怖がり、パニック、空気を読めないなどの性質が祟って、起きている間は上手く立ち回れないことが多い。

 

これ等の事から、ファンの間では『肝心な時にしか役に立たない男』という、褒められてるんだか貶されているんだかよくわからない称号を与えられている。

 

ちなみにかまぼこ隊の他二人が音痴に対して善逸は絶対音感を持ち楽器の演奏もこなせ、炭治郎が伊之助に鯉のぼりを教えようとして人面魚の様な下手くそな絵を書いた際、善逸が書いた鯉のぼりは妖怪そのものだが妙に上手い等、三人の中では最も芸術的センスに秀でている。

 

身体能力

上述の通りヘタレな性格が災いして、会敵状況では緊張や恐怖で弱腰になっており、無意識状態にならない限りその身体能力もまったく発揮されない。
ただし、訓練などの平時であれば炭治郎達の移動速度に難なく着いていく事ができる基礎能力を示しており、疾さ(反射神経、動体視力含む)の面ではむしろ抜きん出ている(事実、蝶屋敷では最初に反射訓練を突破した)。
つまり分かりやすく言えば「本番に弱いタイプ」である。

 

戦闘スタイル

通常の詰襟姿では、鞘を腰のベルトに挟んで居合い(鞘走り)に用いているが、鞘を納められない服装をしている場合は、常に左手で鞘を持った座頭市スタイルをとる。
ちなみに鬼殺隊では、日輪刀(後述)は鬼との戦いの中で日常的に折れたり紛失したりすることを前提とした、いわば消耗品としての扱いであり、事実、炭治郎は作中で既に三度も刀を破損もしくは扮しており、伊之助でさえも刀を一度失っている。
だが、作中の描写を見る限りでは善逸の刀だけは一度も折れた様子も紛失した様子もない。
こうした事情も相まって「同期では最強なんじゃないか」と考える読者も見られる。

 

全集中 雷の呼吸

詳細は個別記事を参照。以下は、善逸が習得している“雷の呼吸”から(無意識に)繰り出される技。
本来、雷の型は六つ存在しているが、善逸が習得できたのは下記の壱ノ型のみで、他の技は使えない。しかし、彼は唯一会得した壱ノ型を極限まで鍛え上げ、それを更なる独自の発展技へと昇華させており、所詮同じ技だと高を括って挑んできた相手はことごとく斬り伏せられている。

 

壱ノ型 霹靂一閃(へきれきいっせん)

雷の呼吸における全ての基本の型であり、善逸が唯一使える型。
神速の踏み込みからの居合い一閃。
人間には無論の事、鬼の目ですら捉えられず、ただ腰の柄に手を置いた善逸が瞬間移動したようにしか見えない。
善逸は己の才覚と修練の全てをこの技の研鑽に費やした結果、天剣絶刀の威力と雷光の疾さを誇るに至っている。

 

漆ノ型 火雷神(ほのいかづちのかみ)

原初の雷神の一柱。そしてまた、黄泉に墜ち死の神となった生命の祖神の体から生まれ、日の神が治めし国を守護し恵みをもたらす鬼神にして豊穣神を意味する。

 

善逸が修行の果てに独自に編み出した、漆(七)番目の型。
基本は霹靂一閃と同じ「強烈な踏み込みによる突撃から放つ居合斬り」だが、いわばその究極系であり攻撃力・速度共に霹靂一閃及びその発展技の比ではない。
体を思いっきり前のめりにして刀を完全に振り切っており、雷の龍のようなエフェクトが現れている。
速さは神速から更に強化され、相手の認識を超えた超高速で突進しながら斬撃を繰り出す。

 

斬りふせる外道の悲鳴さえも雷鳴の轟の中に掻き消すその幻影は、まさに雷神。

 

装備

鬼殺隊士として、日輪刀と隊服を支給されている。
また、任務の伝達・お目付け役として何故か鎹鴉ではなく鎹雀をあてがわれている。

 

日輪刀

日光を浴びる事以外は基本的に不死身である鬼に対して、その頚を斬る事で“殺す”事ができる唯一の武器。
善逸の色は“黄”であり、鎬に稲妻のような文様で色が入っている。
なお、この色は彼が雷の呼吸の極みに達する事ができる可能性を示している。

 

隊服

背に“滅”の字が描かれた、黒い詰襟。
特別な繊維でできており、通気性はよいが濡れ難く、燃え難い。
更には雑魚鬼の爪や牙ではこの隊服を裂く事すらできないほど頑丈。
羽織は山吹色の鱗模様で、これは育手である桑島と色違いである。

 

通常、隊士にはそれぞれ端末として人語を解し、話す鎹鴉(かすがいからす)が宛がわれているが、善逸だけはなぜか雀。

 

 

 

 

 


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