悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)

 

悲鳴嶼行冥とは、漫画・アニメ『鬼滅の刃』の登場人物である。

 

プロフィール

階級 (岩柱)
誕生日 8月23日
年齢 27歳
身長 220cm
体重 130kg
出身地 東京府 梅 日の出山(現:日の出山 青梅)
趣味 尺八
好きなもの 炊き込みご飯
CV 杉田智和

 

概要

吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』の登場人物。

 

鬼殺隊最高位たる“”、その中心を担う隊士。
極めた全集中の呼吸の流派に従い、“岩柱”の二つ名を持つ。
初登場時から瞳孔のない白眼で描かれており、盲目である事が後に本人の口から明かされる。
常に数珠を持って合掌し、周りの事柄に涙して念仏を唱えている姿は慈悲深く見えるが、「柱合会議」の場に連行された炭治郎の言い分を聞こうともせず、「なんとみすぼらしい子供 生まれてきたこと自体が可哀想だから殺してやろう」「鬼に取り憑かれているのだ 早く殺して解き放ってあげよう」と口にするなど、その慈悲の心はかなり一方的かつ独善的。

 

これらは後述する彼の過去に起因しており、後に再び会話をする機会があった炭治郎に自身の過去を彼に語ることとなった。

 

過去

かつて、彼はとある寺に住み、盲人の身ながら、孤児を引き取って育てて暮らしていた。
そんな時、日が暮れる前に寺に戻るという言いつけを聞かなかった孤児の一人が、鬼と山中で遭遇する。
だがその子供は、事もあろうに自分が助かるために命乞いをし、自身の代わりに悲鳴嶼と寺の子供たちを差し出してしまう。

 

鬼と取引したその子供は、夜になると普段は鬼がお堂の中に入ってこれないようにするために焚いていた鬼が嫌う藤の花のお香を消し、中に簡単に入れるよう手引きした。
四人の子がたちまち殺される。異変に気づいて残る四人の子供を守ろうと、必死になって自分の側を離れない様に訴える悲鳴嶼だったが、そんな彼の言葉を聞いたのは一番幼い沙代という女の子だけであり、それ以外の子供達は悲鳴嶼の言葉を無視して、「目の見えぬ大人など当てにはならぬ」とばかり逃げ出した末に、鬼に喉を掻き切られて死んでしまった。

 

そうして最後に残ったのは悲鳴嶼と沙代だけだったが、そこで彼は生まれて初めて『守る為に戦い』、呼吸も何も使わない素手の力だけで鬼を殴り殺し、自分の強さを初めて自覚する。盲目のために今までそのような機会がなかっただけで、彼の中には恐るべき力が眠っていたのだった。
こうして初めて鬼を殺し、沙代だけは守り切った悲鳴嶼であるが、事が全て終わり夜も明けた後に駆けつけた人々に、今まで悲鳴嶼に守られていたその沙代は無情にも、「あの人は化け物 みんなあの人が みんな殺した」と証言したのである。
恐怖で錯乱しての言葉とはいえ、鬼の屍は太陽の光を浴びて塵となって消えており、子供達の惨殺死体だけが残されていたとあっては、悲鳴嶼の弁明を信じる者など誰もいない。
彼の決死の行動は全てに裏目に出てしまい、彼は死刑囚になってしまう。
そんな時に鬼殺隊のお館様である産屋敷耀哉に出会い、鬼殺隊に誘われると共に産屋敷の力によって死刑囚の身の上からも解放され、柱となったのだった。

 

慈悲の心を持ちながらも一方的かつ独善的に見える態度はこの過去に起因する。
しかし、最後に自分を裏切った沙代の事も「あの緊迫した状況の中で気が動転してしまったが故の行動であろう」「子供はいつも自分のことで手一杯だ」と擁護もしており、ショックで上手く話せない為に誤解される言い方しかできなかったことは悲鳴嶼も分かっている節がある。

 

なお、単行本16巻にて「沙代の話」として、彼女の真意が補足された。
「あの人は化け物、みんな殺した」というのは寺に侵入した鬼を指しており、決して悲鳴嶼が仲間を殺したなどとは思っていなかった。しかし真犯人である鬼の死体は消滅し、沙代はショックでまともに話せなくなってしまったため、周囲の大人は悲鳴嶼が殺したかのように解釈してしまったのである。
ただ、仮に犯人は鬼だと言っても惨劇を目の当たりにして気が触れたか、悲鳴嶼を庇っていると思われ結局有罪になった可能性が高い(それでも悲鳴嶼の気持ちにもう少し整理はつけられただろうが、同じ場所で過ごした仲間に裏切られ他の子供が次々殺され、保護者が自分を守るためとは言え延々鬼を殺し続ける光景を見続けた子供に正確な証言をしろというのも酷である)。
沙代は十四歳になった今でも、不本意にも悲鳴嶼に濡れ衣を着せてしまう形になってしまった事を悔いており、謝りたいと思っているのだという。

 

そして容姿や身につけている勾玉等の共通点から前々から疑われていたが、17巻にて案の定寺に鬼を招き寄せたのは善逸の兄弟子の獪岳である事が明かされた。
因みに獪岳はいいつけを破って夜に出歩いていたのではなく、寺の金を盗んだことを他の子供達に責め立てられ追い出されたというのが真相である。
子供達は彼を気を揉ませまいとしたのか保護者に相談もなく追い出した後ろめたさからか、獪岳は寝ていると嘘を吐き、悲鳴嶼は目が見えないこともあって鬼に言われるまで獪岳がいない事に気づかなかった。

 

人物

この様な過去の経緯から警戒心や猜疑心が強い性格となってしまった上に、鬼だけでなく『子供』に対しても、「無邪気で無垢だからこそ、無情で無慈悲である」「自分を守るためなら平気で嘘をつき、平気で残酷なことをする我欲の塊」という考えを持つようになり、厳しい見方をする様になってしまう。
先の「鬼に取り憑かれた子供だから殺してあげよう」という発言も、「子供であるが故に鬼という危険な存在に感化されてしまったのでは?」という考えから、「いずれは鬼になったり、鬼と共に悪事を働くだろうから殺そう」という、自身の過去に起因した価値観が原因であると考えられる。

 

しかし、元からあった真っ直ぐな優しさや真っ当な慈悲深さ自体は見失っておらず、自身の価値観に照らし合わせれば忌避するはずの過去を持つ玄弥に対し、『呼吸の才能がないため継子には出来ない』旨を言い渡した上で弟子として面倒を見ている(『鬼殺隊の規約に定められた継子』ではない)。この師弟関係があったため玄弥は柱訓練に先んじて反復行動を体得していた。
なお教えるのはあまり上手くないらしく、玄弥曰くよく見て覚える。
(玄弥が鬼喰いをすることを見かね、「弟子」という形にして定期健診目的でしのぶを紹介した上で彼に修業をつけている模様。なお玄弥が修業のストレスで癇癪を起した時は、治まるまで静かに見守っているらしい)
また常に真正面から努力を重ねる炭治郎に対して心を開いたりもしている。

 

その他

普段から異様に思えるほど何かと涙を流しているが、これは単に彼がもの凄く涙脆いからであり、例えば母親と子供が手を繋いで楽しそうに歩いている様子を察しただけで感動したり、ゴミが散らかってるのを察して悲しくなったりするなどして度々に泣いているという。

 

猫が好きで自宅でも飼っているらしく、同じく猫好きの甘露寺蜜璃とは猫談義で度々に盛り上がるらしい。

 

趣味の尺八は昔お坊さん仲間から教えてもらったらしく、そのことからかつては僧であったと思われる。
数珠を持ち歩き普段から何かにつけて「南無阿弥陀仏」と唱えている様子や、弟子の玄弥に阿弥陀経を教えているところからして、どうやら浄土教の宗派(浄土宗・浄土真宗)のようである。

 

能力

炭治郎や伊之助から鬼殺隊最強と見立てられており、それは鼻のきく炭治郎が「悲鳴嶼さんだけ匂いが全然違う」と語り、強さにこだわる伊之助も「初めて会った時からビビッと来た」と称したほど(その勢いで突っかかったのか地面にめり込まされている)。
実際、盲目というハンデを覆す程の高い戦闘能力を有しており、伊之助達の評に違わない。

 

そうした実力のみならず、強力な鬼と対峙し続ける柱の中で最年長・最古参であり、加えて信頼の置ける思慮深さを備える事から、当主の産屋敷耀哉とは異なる形で曲者揃いの柱達を纏める『前線指揮官』として立ち回る。
気性の荒い不死川実弥でさえ彼には敬意を払い、敬語で接している。

 

身体能力

当時の日本人としては規格外である2メートルを超える恵まれた長身に、「天与」と言うべきレベルのフィジカルとセンスを最初からその身に備えているため、特別な修練を積んでいなかった18歳以前の時点で、超越生物である鬼を日が上るまで素手で殴殺し続けて仕留めるという、信じ難い程の強さに達していた。

 

入隊後は、人的損耗率が極めて高い鬼殺隊の中にあって最も過酷な柱として、実に8年もの期間強靭な鬼と戦い続け、肉体と戦術を文字通り命懸けで研ぎ澄ませてきた。
加えて平時に於いても、自身に壮絶な鍛練(柱稽古では最終段階に置かれ、善逸でさえ達成出来なかった程に過酷)を課した悲鳴嶼の肉体は、最早人類として最高峰と呼べるまでに至っている。
現に鬼殺隊最高戦力である柱の中でさえ腕相撲一位の座にある。
身体と力に恵まれなかった胡蝶しのぶからは、鬼から救われた時その巨体に安心感を覚えていた事もあり、憧憬まじりに羨まれている。

 

全集中 岩の呼吸

悲鳴嶼が修め、極めた“全集中の呼吸”。上記の『人類最高峰』の肉体に、更なるブーストをかける。
“岩の呼吸”は多数の流派の中でも基本となる、五大流派の一つであり、その名の通り岩のような堅い防御に長けている様子。

 

指揮官

盲目という不利な条件下で百戦を経て練磨されてきた悲鳴嶼の戦術判断力は、頂上戦に於いてなお二手、三手を読み通す。
これらに後述の武器特性が組合わさる事で、悲鳴嶼は指揮官としても超一流の域に達している。
他の鬼殺隊士も――同格である“柱”を含めて――行冥の心身・実績に絶大なる信頼を寄せているため、彼の指示をこそ勝利の最適解と信じ、瞬時に従う。

 

装備

武器

一般の鬼殺隊士が用いる日本刀ではなく、片手用の戦斧に鋼球鎖をつないだ鎖鎌ならぬ「鎖斧」とでも呼ぶべき、特殊な形状をしている。
全ての部位が日輪刀同様に猩々緋砂鉄で打たれているのは言うまでもなく、特殊な製法で陽光が極限まで蓄積されており、大質量の鋼球のみならず鎖でさえも首を絞めれば鬼に致命傷を与えうる。

 

加えて悲鳴嶼は、この鎖の金属擦過音を全周囲へ響かせる事でアクティブソナーとして用い、広域空間を立体的に把握するための“目”としても利用している。

 

総じて最強の鬼殺具として完成しており、そしてまた“最強の鬼狩り”が“最強の武器”を持つ事は、『戦力集中の法則(ランチェスターの法則)』に適っている。

 

隊服

背に“滅”の字が描かれた、黒い詰襟。
特別な繊維でできており、通気性はよいが濡れ難く、燃え難い。
雑魚鬼の爪や牙ではこの隊服を裂く事すらできないほど頑丈。

 

悲鳴嶼はこの隊服の上から、「南無阿弥陀仏」の文字が染め抜かれた羽織を着ている。

 

 

 

 


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