伊黒小芭内(いぐろおばない)

 

伊黒小芭内とは漫画・アニメ『鬼滅の刃』の登場人物である。

 

 

プロフィール

階級 (蛇柱)
誕生日 9月15日
年齢 21歳
身長 162cm
体重 53kg
出身地 東京府 八丈島 八丈富士<西山>
趣味 川柳、俳句、飴細工を作っているところをずっと眺める
好きなもの とろろ昆布
CV 鈴村健一

 

概要

吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』の登場人物。

 

鬼殺隊の隊士。
隊の中では冨岡義勇と同じく「柱」と呼ばれる上級剣士。
「蛇柱」の二つ名を持つ。
「鏑丸」というオスの白蛇を首に這わせており、初登場が木の上。

 

代表的な染色体異常の発現である虹彩異色症(オッドアイ)の罹患者であり、左目が青緑、右目が黄という身体的特徴を持つと同時に、片目が弱視など、他の柱達に比べて小柄な身体も併せて遺伝子疾患が影響と思われる先天的特質を複数抱えている。
服装面では口元を常に包帯で覆っており、素顔を人前に見せることは無い。

 

人物

基本的に主人の産屋敷耀哉および同じ柱以外の人間を信用も期待もしない気難しい性格。
何かと嫌味や皮肉交じりの言葉で接する偏屈な男だが、状況は冷静に把握している模様。
口調は甘露寺蜜璃曰く「ネチネチしている」らしい。実際彼が言葉を発すシーンでは「ネチネチ」という擬音が書かれる。
一方で孤高主義かと思えばそうとも言えず、蜜璃とは文通をする仲でもあるとのこと。彼女に関しては単なる仲間以上の感情を抱いているようで、文通以外にも蜜璃にニーハイソックスを贈ったり、柱稽古の際には炭治郎に対して「馴れ馴れしく甘露寺と喋るな」と牽制したり、無限城での戦いでは率先して蜜璃を雑魚鬼から守ったりしている。
吉原での戦いを終えた後の宇髄天元の下に現れた際も(かなり嫌味ったらしいが)、労いをかけたりしている。
また、重傷を負ったために引退を宣言する彼に後進の隊士が育っていないことを理由に拒否しようとしたりなど、鬼殺隊の今後について気にしていたりする面もある。

 

不死川実弥同様に「鬼は絶対信用しない、問答無用で滅殺すべし」という考えを持つ。
その不死川によって傷を負わされた禰豆子を助けようと、拘束された炭治郎が足掻いた際、何らかの体術らしき技を使い、背中に肘を付くだけで炭治郎の呼吸と動きを封じるという場面が見られた。

 

竈門兄妹の活躍が隊内で評価されるようになった後も、二人への不信感は完全には捨てていないようで、特に炭治郎には上述した蜜璃と親しくなったことが原因で嫌っており、全隊合同の隊士修練において修行場とする建物の内部の壁や床一面に他の隊士の身体を括り付けてその中で相手をするという、底意地の悪い修行を課している(おまけに、括り付けた隊士たちを見た炭治郎の「何らかの罪を犯したのか?」という問いかけへの答えは、「弱い罪、覚えない罪、手間を取らせる罪、イラつかせる罪」などという理不尽極まりないもので、なおかつ隊律違反に抵触しかねないものだった)。

 

だが、宇髄から彼らへの評価を聞いたこともあるのか、彼らの力について(気に食わないながらも)少しは認めているフシがあり、休憩時間をちゃんと設けて無理をさせず、真面目に稽古はつけていたようである。
更に、括り付けられている隊士は恐怖と危機感から二人の剣閃を嫌でも覚え、炭治郎は必死で目で訴える隊士達を避けて必要最低限の動きと剣捌きを覚えざるを得ないという、双方の利になる修行だったりする。

 

後に無惨との最終決戦にて炭治郎を庇った際に両眼を切り裂かれてしまったことが判明(本人曰く彼を庇う以前に既に負傷していたとのこと)。
鏑丸の誘導のもと炭治郎と共闘した際は意外なほどにお互いの息が合い、炭治郎の渡した愈史郎の血鬼術で作り出した呪符のお陰で失った視力を補い、感謝の言葉を口にするほどであった。
隊士修練を経てお互いの動作を理解していたのか息の合った攻撃を続け、遂にはあれほど嫌っていた炭治郎に「二人ならできる!!」と言い放つほどに彼の力を認めた。

 

22巻の大正コソコソ噂話によると彼は実は女性が苦手である。
後述する生い立ちもあり女性への苦手意識や嫌悪感をなかなか克服することが出来なかった。
鬼殺隊に入る女性はその経緯や覚悟も痛々しく別の意味で苦手だった。
突然蜜璃に話しかけられた時はかなりギョッとしたのだが、その明るさや素直さ、優しさが余りにも眩しく自分が生まれてから見た何よりも美しいと感じた。初対面にも関わらず蜜璃がめちゃくちゃ喋るので、甘露寺家の家族構成、猫の名前と特徴、好物や猫同士の力関係まで把握することができたとのこと。

 

能力

全集中 蛇の呼吸

柱の中ではしのぶに次いで腕力が弱い彼だが(柱の腕相撲ランキングより)、上述した自身より力の強い筈の炭治郎を押さえ込むなど、非力さを補って有り余る程の高度な“技”を持つ。
剣技にもそれが大きく活かされており、正に“蛇”のように通常では考えられないような変則的な斬撃を繰り出す。ちなみに"水の呼吸"から派生した流派でもある。

 

装備

鬼殺隊士の基本装備として、日輪刀と隊服を支給されている。
鎹鴉もあてがわれているが明確な描写や紹介はない。

 

日輪刀

詳細は個別記事を参照。
伊黒の日輪刀は諸刃の上に、刀身がフランベルジュのように波打っているが、薄い刃の切れ味は正しく日本刀のそれである。
22巻にてその詳細が判明した。
彼の日輪刀は刀鍛冶の里の長である鉄地河原鉄珍の息子・願鉄作であり、鞘は革製の開くタイプで包む様に納刀しており、弱めの磁石で軽く留めている。

 

隊服

背に“滅”の字が描かれた、黒い詰襟。
特別な繊維でできており、通気性はよいが濡れ難く、燃え難い。
雑魚鬼の爪や牙ではこの隊服を裂く事すらできないほど頑丈。
伊黒は隊服の上にボーダーが入った羽織を着用している。
羽織の色は白と黒であるが、デジタル版ジャンプで公開されているフルカラー版の初期では薄紫と黒になっていた。

 

過去

小芭内はとある一族の生まれだった。
女ばかり生まれる家で男が生まれたのは実に三百七十年ぶりだった(性別不明で、「女ではないか?」と言われた事がある)。
生まれた時からずっと小芭内は座敷牢の中で暮らしていた。母、姉妹、叔母たちは猫撫で声で、小芭内から内心で「気色が悪い」と思われる程に親切であり、毎日毎日過剰な量の料理を運んできた。
座敷牢では夜になると、まるで巨大な蛇が這い回るような音と、そして粘りつくような視線を感じた。

 

小芭内は十二になると座敷牢から出され、きらびやかな装飾が施された豪華な部屋へと連れて行かれた。

 

そして、御神体のように鎮座していたのは――下半身が蛇のような女の鬼。

 

小芭内の一族は蛇鬼が殺した人の金品で生計を立てていた。その代わり赤ん坊が好物の蛇鬼に、自分たちが生んだ赤ん坊を生け贄として捧げていた。
小芭内は一族では珍しい男であり、風変わりなオッドアイだったため、蛇鬼に気に入られており、成長して喰う量が増えるまで生かされていた(後に右眼の視力が殆どないことが発覚した為、先天盲だと思われる)。
蛇鬼は口の形を自分と揃えると言って、小芭内の口の端を裂いて、そこから溢れた血を飲んだ(口元を隠していたのはこれが原因。また扉絵で蜜璃と外食していた際に口にしなかったのは口元を見せたくなかったからで、好物がとろろ昆布なのも固形物が食べられなかったからだろう)。

 

再び座敷牢に戻された小芭内は逃げること、生きることだけを考えていた。
何時か発覚するのではないかと、神経を擦り減らしながらも、盗んだ簪で木の格子を削り続けた。
鏑丸はその時に座敷牢に迷い込んだ蛇であり、小芭内の心の拠り所となっていた。

 

やがて、小芭内は外へ脱出する事に成功。それに気付いた蛇鬼が追いかけてきたが、当時の炎柱に間一髪で救出された。

 

炎柱は小芭内と生き残った従姉妹を引き合わせてくれたが、従姉妹は小芭内を一方的に罵る。

 

「あんたのせいよ あんたが逃げたせいで皆殺されたのよ!! 五十人死んだ! あんたが殺した! 生贄のくせに!! 大人しく喰われてりゃ良かったのに!!」

 

全く以て正当性の欠片もない言い分。しかし、まだ幼かった小芭内の心を抉るには十分だった。
そして小芭内は、自分が「汚い」「屑」だと卑下を通り越して自分自身を罵倒した。
『身内ならかばって当たり前』、どういう気持ちで言っていたのだろう…。

 

この辛辣な言葉は彼の心に深い傷、サバイバーズギルトに類する心的外傷を負わせるに至り、もはや普通の人生を歩む事など当然できなかった彼は、鬼殺隊に入って鬼に感情を全てぶつけた。
そうして鬼を倒し続け、時に鬼から守った人間に感謝された時は、自分が“いいもの”へなれた気がした。
だけど、いつまでも五十人の恨めしい眼と腐った手が小芭内の身体を掴んで離さない。

 

また、上述した経緯がトラウマとなり女性全体に対して強い恐怖心と嫌悪感を抱くようになり、酷く女嫌いになってしまっていた。
だけどそんな彼も、いつの日か唯一心を許せる女性と出会い恋をした。
彼女との出会いで、一つの決意が小芭内に生まれた。

 

無惨を倒して死んで、自分の血が浄化されるように願い、そして鬼のいなくなった平和な世界でまた人間に生まれ変われたら、その時こそ必ず彼女に好きだと伝えよう、と。

 

 

 


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