嘴平伊之助(はしびらいのすけ)

 

嘴平伊之助の読み方は、はしびらいのすけ。
炭治郎と同期の鬼殺隊士。
常に猪の頭を被る不思議な風貌で、好戦的な性格をしている。
山育ちで触覚が鋭く、視界に入っていないものでも居場所を捉えることができる。

 

プロフィール

転載元:YouTube「TVアニメ「鬼滅の刃」嘴平伊之助スペシャルPV」

階級 癸→庚→丙
誕生日 4月22日(名前とともに、ふんどしの裏に書いてあった)
年齢 15歳
身長 164cm
体重 63kg
出身地 東京府 奥多摩郡 大岳山(現:奥多摩 大岳山)
趣味 炭治郎に教えてもらった「ことろことろ」という童遊び
好きなもの 天ぷら
CV 松岡禎丞

 

概要

吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』の主要登場人物の一人。

 

主人公・炭治郎の同期に当たる鬼殺の剣士。
炭治郎らが赴いた鬼殺隊士の最終選別に同じくして立ち向かい、たった五人生き残った精鋭隊士の一人である。
「野生児」という言葉では片付けられない『獣』であり、常時上半身を露出して、頭には猪から剥いだ頭皮を被った二刀流の剣士。

 

人物

まるで?獣”のような生き様
口癖でもある「猪突猛進」の四文字が、彼の生き様そのものを表している。
粗野にして粗暴、そして極めて野卑という生粋の野生児で、良く言えば「ワイルドな俺様系」で、悪く言えば「野蛮な戦闘狂」。

 

乳児期に何らかの理由により母親の手で捨てられており、山の中で猪に育てられた。
他の生き物との力比べを生き甲斐として育ってきたため人一倍闘争心が強く、自分以外の他者を『相手にするまでもない弱者』か『より強くなるための踏み台とするに値する強者』としてしか認識しなかった。
自分より強いと認識した相手には状況構わず勝負を請うが、戦う力を持ちながらも戦意を持たない相手に対しては「弱味噌」と怒鳴りつけることもある。

 

戦う相手が居ない場でもその闘争心が収まらないらしく、大声を張り上げたり意味も無く木の幹に体当たりしたりしている。まさに獣。
もちろん山育ちのために人としての常識が通用せず、(意識してないとはいえ)無力な少女を足蹴にする、屍の埋葬の意図を理解できない、手づかみで物を食べる、清めの切り火を威嚇と思って激怒する、等々。
あまつさえ字の読み書きすらできない程(明治末期の識字率は約98%)である。
このように一般常識に欠ける反面、古風な小難しい言い回しや語彙が意外に豊富。その理由については後述。

 

それでも一応、言葉によるコミュニケーションが取れる、下半身を衣服で覆う、自らの名を持ちそれを名乗る、無益な殺生は行わないなど、瀬戸際のレベルで『人間』ではある。
負けず嫌いで物凄く染まりやすい性格であり、ノリが頻繁に変わる。

 

名前が書かれた布を褌として着用しているが、これは元々おくるみ(赤ん坊を抱き易くするために巻く布)、つまり字をしたためたのは彼を“捨てた”母親である。
名乗ることはできるが、上述の通り読み書き自体ができないため、当然ながら自分では書けない。
山に捨てられた後の彼は、子供を失ったばかりの母猪に育てられた。

 

彼が?人間”になるまで

本来、一定の年齢(約12歳ごろが限界、これをクリティカル・エイジと呼ぶ)までに人間の言葉に触れずに育った人間は、語学を習得できないとされており、伊之助も本来ならば人間の言葉すら喋れずに獣の一員として生きていくはずであった。
そんな彼が言葉をしゃべれるようになったのは、たかはるという青年…の祖父からの影響である。

 

昔、棲んでいた山の麓にある民家に迷い込んだ幼少期の伊之助は、留守番中のややボケかけて来たたかはる祖父から餌をもらい、家に寄りつく様になる。
そのころから猪の皮を頭にかぶっていた為、たかはるから煙たがれ口汚く罵しられながら追い払われるも、性懲りもなくもう一度たかはる家に来訪。

 

そこで祖父から百人一首を読み聞かせられて言葉を覚え、この時に着用していた褌から自分自身の名前を知る。
意外に小難しいボキャブラリーが豊富なのはこのたかはる祖父の影響と思われる。
そして同時にたかはる青年の乱暴な口調を自らのものとし、その家を自分の縄張りにして時折おかきなどを差し出させた。

 

鬼殺隊に入隊してからは、とある任務で出会い行動を共にする事となった炭治郎や藤の家のお婆さんなど様々な人間の優しさに触れ合う(当人は「ほわほわ」と表現)中で、その意識には徐々に変化が訪れており、特に己より遥かに強かった炎柱の生き様に立ち会った事で、『真の強さ』の何たるかを心に描き始めた。

 

それ以降は、鬼殺隊の隊員たちや蝶屋敷の面々、特に同期の二人、炭治郎と善逸との付き合いを通して『人間』として強く成長していくようになる。
蝶屋敷の主人であり度々三人の治療を行っていた胡蝶しのぶには母性を感じることもあったらしく、後に母親の最期を聞かされた時には、記憶の奥底にわずかに残っていた母親の面影としのぶを重ねていた心境を自覚した。
最終局面では炭治郎と善逸に対し兄弟のように思っている心境を、悲痛な思いで心中で吐露している。

 

野山で培った戦闘能力

鬼殺隊士としては珍しく、育成者である“育手”による修練を経ず、自分の縄張りに踏み込んだ鬼殺隊士を打ち負かし、装備を奪って最終選別に参加した上で、誰よりも早く選別を通過した特異な経歴を持つ。
元より心身頑健な炭治郎が血の滲むような鍛錬を二年間経て習得したものと同等の戦闘能力を独力で身に着けていることから、一面では天賦の才を有していると捉えられる。
なおこの最終選別の際、隊士説明会に参加せずすぐに立ち去ったため、最後に通過した炭治郎は後の任務で出会うまで同期隊士であるとは知らなかった。

 

鬼殺隊士に勝った基礎身体能力のみならず、野生で生きてきたからこその勘の良さ(殺気に対する反応速度)、二刀流による攻撃力、更には広域探知の技を有していることから、その戦闘能力は高い次元でバランスが取れており、最終選別を誰よりも早く通過したという実績は伊達ではない。
半面、思考能力には難があり、直線的・直情的な行動しかとれないため、搦め手を用いたりとゴリ押しが効きにくい鬼には相性が悪い。

 

容姿

筋骨隆々な体躯と乱暴な口調に反してその顔立ちは女と見紛う程に整っており、青く染まった毛先、瞳は深い翡翠色に輝く「紅顔の美少年」と呼ぶに相応しい容姿をしている。
美しい人間しか食べない上弦の鬼の堕姫の眼鏡に適い、獲物として狙われた事もある。

 

ただし声は野太く、しかも音痴。
同期隊士の善逸はその素顔を最初に見た時に、「むきむきしてるのに女の子みたいな顔が乗っかってる」と気味悪がった。

 

余談になるが、伊之助の素顔は本誌よりも先にジャンプGIGAのおまけ四コマで明かされるというミスが起こってしまい、それに関して当の四コマが掲載された単行本4巻の巻末にて、作者が謝罪している。

 

その他

余り人の名前を覚えようとせず、基本的に人の事は渾名やその場のノリで呼んでおり、炭治郎に至っては毎回呼び方が変わる。(例:三太郎、炭八郎、炭五郎など)
非公式ながら炭治郎・善逸・伊之助の三人の総称がかまぼこ隊と呼ばれているのは、伊之助が最初にかまぼこ権八郎と呼び間違えたのが由来である。
そんな彼も7回に1回正しく人の名前を言えるらしいことが、アニメ第16話の次回予告で明かされた(アニメ版大正コソコソ噂話より)。

 

能力

触覚

炭治郎が嗅覚に優れ、善逸は聴覚に優れる一方、伊之助は並外れた鋭い触覚を持つ。
上半身を常に晒しているのは、肌面積を増やすことでパッシブ・センサーとしての能力を最大限に有効化させるためでもある。

 

身体能力

山の中で獣同然に鍛え上げた身体能力は、地獄のような修練によって『人間』としては極限まで鍛え抜かれているはずの鬼殺隊士を、さらに上回る。
更に伊之助の肉体は高度な柔軟性をも有しており、雑技団のような複雑な体勢も無理なく取る事が可能なため、不安定な足場や空中からでも、通常の剣士では考えられないイレギュラーな体勢から強力な斬撃を放つことが可能。
これは戦闘経験の多い人喰い鬼ほど、“常識”の範疇で相対する人間を量る傾向があるため、不意をつける可能性が上がる。
また、肋骨が4本折れている状態でも意に介さず全力で戦闘行動がとれるなど、苦痛に対する耐性も極めて高い。加えて、全身の関節を自在に付け外しできるため、これらを組み合わせる事で『頭蓋が入る広さがあればどこでも通ることが出来る』という“特技”へと昇華させている。

 

薬物耐性も高く、毒物の類が効きづらく致死毒を使う相手との戦闘に於いては、(多少の)不利を打ち消せる。
ただし反面、治療薬も効き辛いためメリット/デメリットが如実に表れている。

 

我流 獣の呼吸

力比べで破った鬼殺隊士から学んだ(技を盗んだ)のか、自然の中で独自に同様(または同等)の呼吸法に辿り着いたのかは定かではないが、鬼殺隊士と同じく著しく増強した心肺により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで瞬間的に身体能力を上昇させ、鬼と同等の戦闘能力を得る“全集中の呼吸”を扱える。
性質的には風の呼吸に近いらしく、日輪刀が藍鼠色に変わったことから、“水”と“岩”に適性がある(後述)とされる伊之助への適性には、やや疑問符が付く。
但し、炭治郎の場合も適性がない水の呼吸を十分に使いこなしている辺り、適性がないからといって他の呼吸が使いこなせないわけではない。

 

装備

本来の鬼殺隊士には、個々に専用の日輪刀(玉鋼の時点から本人に選ばせる)と隊士服を支給されるが、伊之助はこれらの支給・説明会に立ち会わずに最終選別の場を去ったため、腕試しで打ち負かした隊士の装備を奪って使用していた。
また、伝令及びお目付として担当の鎹鴉(かすがいがらす)をあてがわれている、のだが……(詳しくは後述)。

 

日輪刀

詳細は個別記事を参照。
別名“色変わりの刀”と呼ばれ、持ち主によって刃の色が変わり、色毎に特性が異なる。
二刀使いであり、また伊之助本人の意向で鍔も鞘も持ち合わせていない。

 

初代

他の隊士から奪った刀。伊之助本人のために打たれた刀ではない。その色は一般の刀と同じ白銀色である。鍔は無く、柄もサラシ布を巻き付けただけの簡素なものであり、更には刃が何ヵ所も毀れている、いかにも『盗品』といった風情の刀。
しかしながら本人は「千切り裂くような切れ味が自慢」と豪語しており、その言葉通りギザギザになった刃を活かしてノコギリのように切り裂くことが出来る。
両刀とも、那田蜘蛛山において『父蜘蛛鬼』の身体強度に負け、折れ飛んだ。

 

二代目

那田蜘蛛山戦後、蝶屋敷での療養中に伊之助のために新しく打たれた刀。
刀匠は鉄穴森(かなもり)。
刃の色は藍鼠色(青・灰系)に染まったことから、伊之助自身は“水の呼吸”或いは“岩の呼吸”に適性を持っているようである。
鈍く輝く刃と、翼を広げた鳳凰を象った鍔(二刀に合わせて鳳(オス)と凰(メス)が描かれていたと思われる)を持つ雅な意匠の刀だったが、伊之助によって即座に刃も鍔も初代と同じ仕様に強制改造され、これには温厚な鉄穴森もさすがに鋼鐵塚ばりに大激怒した。合掌。
(さしもの伊之助も職人の本気には怖れをなしたようで、見送りの際に自分に代わって頭を下げる炭治郎の服の裾を掴むという珍しい姿が見られた)

 

隊服

特別な繊維でできており、通気性はよいが濡れ難く、燃え難い。更には雑魚鬼の爪や牙ではこの隊服を裂く事すらできないほど頑丈。
本来は背に“滅”の字が描かれた黒い詰襟と揃えての着用が正式だが、上述の通り伊之助は触覚の感度が極めて高く、衣服の接触に対して不快を覚えるため、長袴(ズボン)のみである。
一応上着も着てはみたようだが気に入らなかったらしく、あまりの不快感に即脱ぎ捨ててズタズタに引き裂いた上踏みつけてしまった。この一件のせいで、隊服を作る隠達には蛇蝎の如く嫌われているらしい。

 

鎹鴉

伊之助のカラスは、炭治郎との合流時までに十八回ほど食われかけた事から、合流後は完全に姿を隠している。
一応、合流前も伊之助は鬼狩りの任務をこなしていたようなので、ギリギリでコミュニケーションはとれていた模様。
名前などの詳細は不明。
尚、炭治郎の鴉も食おうと言った事がある。

 

ちなみに余談ではあるが、食用に適しているのは雀のほうである。
カラスも食べれない訳ではないが、かなり硬くて臭いので結構手間な下処理が必要である(成分としてはクジラ肉に近い)。つまり、カレーにすれば旨い。

 

猪の頭皮

彼を育てた母猪から剥いだ形見。
伊之助は、自身の可憐な顔立ちを気に入っていないようで、ほとんど常に(眠る時ですら)この猪の頭皮を被り、「山の主」と称している。
当然というか、この姿を初めて見た者は一般人や鬼殺隊関係なく、猪頭の化け物かと誤解した。
その他、腰には鹿の毛皮を、脚には熊の毛皮を巻いている。

 

 

 

 


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